多くの読者に愛された内田先生が逝去されました。
脳梗塞で倒れられてからの休筆宣言、体調が気になってはおりました。ご冥福を祈っております。
内田作品と言えば浅見光彦シリーズ。自身も軽井沢のセンセとして作中に登場していましたが、これほど読者に愛された作家は他にいないのではないでしょうか。
私の本棚にも浅見光彦シリーズの未完「孤道」まで、100冊以上が並んでいます。浅見光彦シリーズのファンは頷いてくれると思うのですが、作中の浅見家の人々、軽井沢のセンセは実在の人物という感覚になっています。ですから、今朝、内田先生の訃報に接し、かなりのショックを受けています。
これほど多作で、映像化、コミカライズも数多くされ、何より多くのファンを獲得している作家ですが、メジャーな文学賞とは縁の遠い方でした。ただ、そのことと作品群の価値は別物です。
極端に言えば、作中の浅見家の人々と接することで、人生のなかで生死を考えてしまうような、ギリギリのところを乗り越えられた方もいると思います。世の中は自分の周りだけの世界で、成り立っているわけではない。いろいろな場所で、いろんな人が生きている。作品世界を通してそう感じると、生きる力と言うか、生きることへの楽しみのようなものを感じさせてくれました。だからこそ、作品もセンセもこれほど愛されたのだと思います。
ご逝去は残念なことですが、膨大な作品群を残してくれました。あらためて、あれこれ手に取って読み返したいと思います。
合掌